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身代金要求は人から情報へ

日本にはないとされている保険で「K&R保険」というものがあるそうです。略称のKはKidnap=誘拐、RはRansom=身代金です。
国際的な企業の従業員が誘拐され身代金要求をされた時に、その従業員を救い出すために交渉をし、身代金を支払うための保険だそうです。

日本でこの保険がないとされているのは昭和の時代に時の損保協会長が国会で「ない」と答弁したことからですが、各企業がこのような保険(身代金の原資)に入っていることを世界の地下組織が知れば誘拐事件を助長しかねないというところです。

保険会社は巨大リスクや特殊なリスクを引き受ける際には再保険(保険の保険)を手配してリスク分散(または転嫁)をいたします。
通常は再保険専門の会社や他の損害保険会社から再保険を買うのですが、特殊リスクを担保するK&R保険は顧客の従業員が誘拐された後、交渉をしなければなりませんから「世界の地下組織に通じているマネジメント会社」の役務を再保険として買っているようです。

最近Ransomという響きを聞くのはサイバー攻撃での「ランサムウェア」です。
このランサムウェアは造語で、「ランサム=身代金」+「マルウェア=悪意のあるソフトウェア」だそうです。

この「ランサムウェア」に感染すると企業の持つデータが暗号化されて使えなくなり、「身代金(ランサム)を支払わない限り暗号化を解除しない」と脅してくるというものです。

高度なセキュリティが入っていないと侵入されるうえ、侵入されたことさえわかりにくいために暗号化させる時間を与えてしまうとか・・・

残念ながら、現在のところランサムウェアにより請求された「身代金」を補償する保険はありませんが、感染後の調査・復旧にも相当な金額がかかることから保険ヘッジしておくべきリスクであると言えるでしょう。

※2024年5月時点の内容となります

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