何に保険をかけたらいいんだろう?A
前回の続きです。
Cについては数年に一度「保険をやめる」ことも含めて内容の検討をされた方が良いと思います。
問題はBのカテゴリーにあたるものです。
ここについて言いますと
@主に人に対する賠償金などで一度に多額をキャッシュアウトしなければならない損害
Aある災害によって売上そのものが立たないという損害
に分かれると思っています。
‘@は「事業に関わる賠償責任保険」「労災事故の際の被用者またはその家族に対する賠償責任保険」などを手当することによりリスクヘッジできますが、業種によってはそれこそ“身につまされていない”ために未加入の企業がまだまだ多いというのが現状です。
ただ、人に対する賠償が「死亡」「後遺障害」「介護状態」ともなりますと自動車保険の対人賠償責任額が“無制限”になっているのが一般的である通り、かなりの金額に及ぶために年度の利益はおろか事業継続さえも危ぶまれるケースも出てきます。
‘Aは冒頭の例で書きましたが、メーカーの工場建物や機械類には保険がかかっているけれども・・・というようなケースです。確かに大切な資産に保険をかけておくことは重要なことではありますが、それらが復旧されるまでの期間(特に今はモノが入りにくい時代ですから長引きます)の利益(≒粗利益)を補てんするような保険には未加入という企業が少なくありません。
‘Aのケースはメーカーに特有かと言うとそうではありません。
多くの中小企業の代表者は「監督で四番でピッチャー」であるという現実があります。この方が突如いなくなってしまったり、監督(経営)はできるけどフィールドには出られないとなると次世代がそこを担うまでにはかなりの時間を要するということになります。
このあたりは生命保険のカテゴリーでしっかり手当しておきたいところです。企業で生命保険に加入している割合は意外と高いのですが、その契約内容は資産運用的な役割を担っているというものが多く、リスクを考えてのものではないというのは残念なところです。
先ずは自らの会社のリスクと既加入の保険をA〜D(既加入保険の場合、実際にはほとんどの場合BとC)のカテゴリーに分け、保険でリスクヘッジするのが良いのかどうかを検討することが「何に保険をかけたらいいのか?」の第一歩となると思います。
法改正などの環境の変化もあり、それによる発生頻度の変化もあり得ますので少なくとも数年に一度見直すのが良いでしょう。
冒頭で減価償却しきった自動車に車両保険をかけなくてもいい(対人・対物などの自動車保険はかけなければなりません。あくまで車両保険です。)のではないのか?と言ったのは大きな損害にならないという点に於いてです。車対車の事故で事故相手との交渉をアウトソーシングしたいと考えるならばそれはそれで保険をかける意味があります。
自動車事故はまだしも、特殊リスク(発生したらどう対処していいかわからないリスク)、例えばサイバー攻撃に対する備えなどは保険会社が手配する専門業者が使えるという点に於いて頻度・金額に拘らず加入を検討されるのがよろしいかと思います。
以上
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※2024年6月時点の内容となります