信用状取引における銀行の書類点検について

□ 貿易・国際輸送

※下記は、ISBPの一部条項を抜粋し、各概要を説明したものです。詳細は、当該書籍をご一読ください。
 

【一般原則】

第6条
一般的な省略語が使用されている場合は、提出された書類はディスクレとされません。
例えば、Limited ⇒ Ltd ; International ⇒ Int’l ; Company ⇒ Co. など

 

第7条
/(斜線、スラッシュ)は、別の意味に解釈される場合があるので、「語句の代わりには使用するべきではない」と規定しています。

 

第8条
証明書等は、信用状で要求された通りに個別の書類にするか、または他の書類の中に含めることができます。
この場合、日付や署名については他の書類のために表示されている日付や署名が同一人によるものでなければ省略できません。

 

第9条
受益者が作成した書類以外の書類の訂正や変更は、発行当事者の認証により訂正等がなされていなければならない。
変更等した当事者の署名またはイニシャルが記載されていなければなりません。※手形は、振出人により認証されたもの※船荷証券は、運送人、船長またはそれらの代理人により認証されたもの

 

第12条
訂正等の方法は、訂正等箇所全てが個別に認証されたものであるか、1箇所の認証で複数個所の訂正等を行なう場合は、その旨を関連付ける明記が必要です。

 

第13条
信用状に明記されていない場合の書類の日付は、手形、運送書類、保険書類を除き書類の内容によって判断されます。

 

第14条
呈示期限、信用状の有効期限内であれば、分析証明書、検査証明書等の日付は、船積後の日付を明記しても問題がない。
船積前検査証明書については、検査等が船積日より前になされていることが内容から確認できれば、前述と同様です。

 

第21条
UCP600に定義されていない表現が信用状で使用されている場合の国際標準銀行実務での取扱い
-a       「Shipp Documents」は、荷為替手形を除く、信用状で要求された全ての書類を意味します。
-b       「Stale Documents Acceptable」は、信用状記載の呈示期限内であれば、船積後21暦日を過ぎて呈示された書類は、受理されます。
-c        「Third Party Documents Acceptable」は、UCP600第14条Kで、規定されている通り、為替手形以外の書類は、受益者以外が作成しても受理されます。
-d       「Exporting Country」は、受益者の本店所在国、物品の原産地国、運送人による受取国、または船積(発送)される国を意味します。

 

第25条
ミスタイプ、ミス・スペリングについては、語句又は文章の意味に影響を及ぼさない範囲でディスクレとしないと規定しています。
例えば、「Machine」 ⇒ 「Mashine」、「Model」 ⇒ 「Modle」 等

 

第29条
呈示しなければならいな原本の通数は、信用状の要求通数(明記されていなければUCP600規定通数)と書類自体に発行通数が記載されている場合の通数のいずれをも満たしていなければなりません。

 

第32条
書類のコピーは、署名する必要はありません。

 

第34条
荷印詳細を信用状が明記している場合に、荷印を含む書類は、その詳細を表示しなければなりません。
但し、信用状条件に矛盾しない追加情報が記載されていても書類は受理されます。

 

第37条
信用状に明記されていない場合でも 為替手形、証明書類、宣言書、運送書類、保険書類には署名が必要です。

 

第41条
書類の表題は、信用状が要求しているものと一致する必要はありません。
書類の内容が要求された書類の機能を果たしていれば、類似の表題でも表題を付けなくても充足されます。

 

第42条
信用状が要求している書類は、基本的には個別に作成して呈示するべきですが、複合書類として内容が記載されている場合は、要求されている個別の書類通数分を同様の内容で原本として呈示すれば充足されます。

 

第55条
為替手形の訂正および変更は、振出人よって認証されているとみられるものでなければなりません。
※第56条に為替手形の訂正・変更を受入れない国もあるとの明記があるため、発行銀行によりその旨の記載がなされていないケースを考慮すると、訂正・変更はできるだけ避けた方が良いと思われます。

 

 

 

【送り状】

第57条
信用状が単に「Invoice」を要求している場合、送り状の種類は問われません。
「Commercial Invoice」「Customs Invoice」「Tax Invoice」「Consular Invoice」等も受理されます。
但し、「Pro-forma Invoice」「Provisional Invoice」等は、受理されません。

 

第58条
送り状の物品、サービス等の記述(Description of Goods)は、信用状の内容と同様であれば、一言一句同じ順序で記載しなくても受理されます。

 

第61条
送り状は、信用状で取引条件(貿易建値)を商品の一部または、金額と結び付けられている場合、その取引条件を記載しなければなりません。

 

第62条
信用状に指定がない場合、送り状に署名や日付は必要ありません。

 

第64条
送り状には、超過船積(UCP600第30条bを除く)および、信用状に明記されていない商品名を記載してはなりません。

※見本、宣伝用の無償の物であっても受理されません。

 

 

 

 

【船荷証券】

第96条
「Shipped on Board」と予め印刷されている場合で、別途船積等の付記がなければ、発行日が船積日とみなされます。

 

第101条
信用状が荷受人欄に記名式による表記を要求している場合に、指図式(to order (of・・・))の船荷証券は受理されません。
また逆も同様となります。

 

第102条
指図式(to order (of the shipper))の船荷証券は、荷送り人の裏書がないと受理されません。
但し、荷送り人の代理が署名(for or on behalf of the shipper)している場合は、受理されます。

 

第103条
信用状に通知先(Notify Party)の記載がない場合は、空欄でも任意の方法で補完しても受理されます。

 

第104条
積替(transhipment)とは、信用状に記載された船積港から陸揚港までの間で、本船からの荷卸しと別本船への再積込をされることをいいます。

 

第105条
信用状が一部船積を禁止している場合でも同一船舶による同一航海で、同一陸揚港に向けて、地理上の同一地域内(例えば、横浜港、神戸港、大阪港等)の複数の港から船積された貨物の船荷証券提示の場合は、一部船積とはみなされず、書類が受理されます。但し、複数の船荷証券の最後の船積日が信用状の船積期限内であること。
複数船舶により同一日に同一陸揚港に向けて出航した場合は、一部船積となり書類は受理されません。

 

第107条
船荷証券上に印刷済みの「Clean」という文言が削除されていても付記やその他の条項によりリマークがなければ、故障付とはみなされず、書類は受理されます。

 

第108条
物品の記述は、信用状の記載と矛盾しなければ、一般の用語で記載された書類は受理されます。

 

第110条
船証券のコピーは、原本になされた変更等による署名又は認証は必要ありません。

 

 

 

 

【保険書類】

 

第173条
保険書類は信用状で要求している危険を担保しなければならない。但し、免責条項の記載があっても受理されます。
ICC(A)の保険書類は、信用状が「All Risks」条項または付記を要求している場合でも充足しますので受理されます。
※ICC(A)2009は、最新の約款でICC(All Risks)より補償範囲が広くなっています。

 

第177条
信用状が免責歩合が付かない(Irrespective of percentage)担保内容を要求している場合は、「Excess」「Franchise」等の条項を含む保険証券は受理されません。

 

第180条
信用状が被保険者を指定していない指図式による保険書類は、荷送人(受益者)による裏書がなければ受理されません。
※輸出の場合は被保険利益の問題がありますので、通常は指図式の保険証券です。

 

 

 

 

【参考文献】

【信用状統一規則の実務Q&A(UCP600・ISBP681の総合解説)】
※実務で起こり得る疑問をQ&A形式で解説しており、非常に分かりやすい必携の一冊です。
著者は外為専門の特殊銀行で、海外では「Bank of Tokyo」として高い知名度のあった東京銀行出身の方です。

 

【ISBP(荷為替信用状に基づく書類点検に関する国際標準銀行業務) 国際商工会議所日本委員会】
※銀行の荷為替実務の規則を英文、日本語で解説しています。



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