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ボンドの活用@〜保険会社での位置づけと商品概要その1

損害保険会社が「本業」として行なっているのは、“保険(の引受)”と“再保険(の引受)”と言われています。これらについていうと取締役会に付議せずとも、商品種目ごとにそれぞれセクションがあり、そこの承認が下りれば現場で運用できるそうです。

損害保険会社は融資も行っていますが、これは本業以外であり、たとえ1円でも融資するならば取締役会に付議しないといけないと聞きました。

保証業務についても同様で、私は前職で債権を発行した会社の「劣後債の金融保証」の現場に立ち会った経験がありますが、その関連セクションの方々は大変苦労をされて取締役会の承認を取られていたと記憶しております。

この保証業務についてほんの一部ですが「本業」としているものもあり、現場で運用でき、証券までもが発行できるものがあります。

私は建設業界の担当が長かったので履行ボンドという商品を例に書きたいと思います。


この商品は公共工事における「工事完成保証人」と呼ばれる制度の代わりとなるものとしてできました。
平成7年のことだったと記憶しています。

公共工事は通常、一般競争入札が行われ一番札(最安値)を出した建設会社が受注します。

その一番札を出した建設会社が債務不履行(=工事続行不能)に陥った場合、二番札を出した建設会社が「工事完成保証人」となっていて残工事を責任持って完成させるという商慣行だったようです。

公共工事=税金が原資ですから「トンネル作り出したけど真ん中までしかできませんでした」なんてことで済まされないため、発注者側(自治体)からすると当然の手当とも言えますが、一番札の会社が債務不履行になってしまった後の残工事をするということは工事完成保証人になった建設会社からすると赤字工事を引き受ける可能性が高いということになります。なぜなら入札を行なった時点で落札できなかった(=二番札)わけですから。一番札の会社の工事予算でできるはずもありません。

そこで建設会社間で入札前にあらかじめ話し合いが行なわれ、入札額の調整が行われていたとされています。
これが「談合」と呼ばれるものです。

工事完成保証人制度は「談合の温床」とされていたのですね。


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※2024年6月時点の内容となります

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